今年、誕生70周年を迎えたオリエント スターは、既存のムーブメントを新技術で大きく進化させた。なんと脱進機のガンギ車を、シリコンで成型したのだ。日本製初となるシリコン製ガンギ車は、エプソンの高精細プリントヘッド製造にもつかわれているMEMS加工技術によってかなえられた。それをこれまで用いてきたスケルトンムーブメントCal.48E51に採用した最新の46系F8キャリバーF8B63は、駆動効率が飛躍的に高まり、かつ香箱も再設計されて駆動時間を50時間から70時間にまで伸ばしている。また精度も飛躍的に高まったという。スモールセコンドの背景に見えるシリコン製ガンギ車は、半導体成膜技術によってナノメートル単位で膜厚調整した酸化膜とアモルファス(非結晶)構造のポリシリコンの多層膜構造を形成した、鮮やかなブルーが実に美しい。