腕時計の最前線で活躍するジャーナリスト3人が、2021年の新作からイチオシモデルをリコメンド! 今回は最もトキめいたモデルを1本選んでいただきました。
腕時計の目利きが惚れた新作とは……
2021年の「WATCHES & WONDERS GENEVA」も、昨年に続いてオンラインでの開催だったものの、魅力的な新作揃い。コロナ禍における各ウォッチメーカーの挑戦や工夫が感じられる見本市となりました。
新作を見渡し終わったところで、3名の時計ライターにオススメを聞いたところ、選ばれたのはいずれも器量良しで中身も良しな3本でした。さすが、時計のプロが太鼓判を押す新作です。
◆ 福田 豊が選んだのは……
ショパール「L.U.C QF ジュビリー」
今年はL.U.Cの誕生25周年で、これはその記念モデル。L.U.Cは「ショパール」の原点であるマニュファクチュールに回帰し、自社製ムーブメントを開発・搭載したフラッグシップコレクションです。完成度の高いムーブメントが時計好きに人気で、とりわけ96系を愛する時計上級者は少なくありません。
この新作も96系を搭載。しかも、最高品質を保証するカリテ フルリエ(QF)財団認定のシリーズというのがグッとくる。さらにQF財団認定で初のステンレススティールモデルというのも素晴らしい。
ヴィンテージなセクターダイヤルやカーフスキンストラップも魅力。これは本当に心から欲しい。ですが世界限定わずか25本で既に入手困難。あ~、どうにかならないかしら。
◆ 鈴木裕之が選んだのは……
パテック フィリップ「カラトラバ」
長らく9リーニュ(1リーニュは2.2558mmに相当。9リーニュは約20.3mm)の小径ムーブメントを手巻きの主力に据えてきた「パテック フィリップ」。それが新しい手巻きを作ったというのだから、時計好きならそれだけで“トキめき倍増”です。
新しいムーブメントはツインバレルのオフセット輪列で、薄さを重視した設計が魅力。センターにカナを置く構造や、テンワの外周リムを太くして力強さを増すなど、スペックはまさしく次世代機。
薄さの恩恵を最も受けるのはスタイリングで、Ref.5199の後継機となる新しいRef.6199は、カラトラバらしい端正なプロポーションを保ったまま、直径39mmという使いやすいサイズに進化しました。適切なスモールセコンドの配置や、ベゼルのクル・ド・パリ装飾も一層映えます。
◆ 篠田哲生が選んだのは……
カルティエ「タンク マスト LM」
「カルティエ」のタンクといえば、数々のセレブリティが愛してきた傑作であり、時計好きとしては“マストハブ”な一本。いつかは欲しいなとは思っていましたが、この新作にはヤラレました。
デザイン自体は1917年に誕生したオリジナルモデルの流れを継承していますが、なんとムーブメントはソーラー駆動。ダイヤルのローマン数字ダイヤルをカットオフして、発電用のソーラーセルを仕込むという戦略も見事ですし、これだけの小さなスペースで時計を駆動させるエネルギーマネージメントも完璧。
レトロでありながらテクノロジーをぎゅっと詰め込んでいるという点でも、“伝統と革新”という言葉をまさに体現した時計といえるでしょう。